僕の考える予防歯科(その1)

僕は技術者としてのプロ意識が強いんです。

きれいな詰め物や、精度の高いかぶせ物や入れ歯なんかにこだわりますし、できると嬉しくなっちゃいます。

そのために日々勉強して練習して研鑽も重ね、それが楽しかったりもするんです。

でも、「よし!本物の歯に引けを取らない出来栄え!」とか思ってる時点で「元の健全な天然歯にはどうやっても及ばないんだな」なんて思って非力さを感じる事が実はあったりもします。

 

こんな事を歯科医が言うのもなんですが、僕たちが行う「“歯科保健治療”」の中で、元々の健康な天然歯状態の時より良くなることは通常ほとんどないんですよ。

ちっちゃい虫歯を削り取ってそこに充填物を埋めるようなちょっとした治療でも、元の健全な歯には及びません。決して0にはならないのですね。

それはそれで大事なことだし、必要な事なんだけど、イメージとしてはマイナスになったものをできるだけ0に近づけるだけなんですよ。

そもそも大方が事後処置ですし、元々の健康な天然歯と全く同じ状態に戻す事を「治す」という事とも定義してないんです。

「治療」には「原因の除去→機能回復→再発の予防」という考えがあるんですが、

歯科保険治療ではこの中の「原因除去」を治療、「機能回復」をリハビリテーションと言っていて、ここまでを僕たち保険医は「治す」と言ってたりするんですね。

ですから治療が終わっても、条件や状態のスタートラインは元々健全だった天然歯より悪いわけですから、これまでと同じ生活習慣、ケアを続ければ以前より短期間でさらに悪くなることは火を見るより明らかだと僕は思うんですよ。

じゃあどうするか?

それは「なぜそうなったのか?そうなるリスクを自分はどこに持っているのか?」をしっかり検査し、知った上で予防にシフトすることが大事なのは至極当然、という事です。

 

先ほど述べた「原因除去→機能回復→再発の予防」の「再発の予防」の部分でもあり、ここの最後の部分をしっかり行っていく事で、今後悪くなるリスク事態をコントロールしていく事になりますから、治療を受けていない歯も含めるとイメージとしては0からプラスにして行く所となり得るんです!素晴らしいですね!そしてそれが予防歯科です!

 0からプラスに持っていける予防歯科の有益性は実は計り知れないものだと僕は思っています。この部分をプロである我々が情報提供し、手助けし、難しい点はこちらが担当し、共に歩んでいくのが予防歯科です。

やらない理由が見当たらないですね。

しかも予防歯科は「歯を守る」事だけではありません。実はその方個人の全身の健康から社会問題や日本の経済、財政問題に渡ってもっともっと大きな貢献ができるポテンシャルを持ってるんです!絶対普及した方が良いと思いませんか?

 

これについてはまた後日お話しできたらと思います。

今回はここまで!お読みいただきありがとうございます!ではまた!

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