こんにちは。名古屋市天白区にある歯医者「医療法人IDG いちろう歯科・矯正歯科」です。

近年自然災害が増え、災害に備えた意識も高まりつつあります。
被災地では災害による停電・断水や物品・水不足等から口腔ケアが困難となります。
今回は、災害による口腔内トラブルや対策、口腔ケア用品・方法等詳しく解説します。
目次
災害時に起こりやすい口腔内トラブル

歯周病の急性悪化
細菌の増殖と免疫低下により、歯茎の炎症が強く出やすくなります。
腫れ・出血・痛みが急に悪化することもあります。
虫歯の進行
非常食や糖分が多い食品を摂る機会が増えたり、歯みがきの回数が減ることで糖分が長時間口の中に残りやすくなります。口の中に残った糖分をもとに細菌が酸を作り、その酸によって歯の表面(エナメル質)が溶かされます。
また、水分不足により唾液の分泌量が減少します。唾液には「汚れを洗い流す」「細菌の増殖を抑える」「歯を守る」働きがあり、これが弱くなることで細菌が増えやすくなります。唾液が少ないことで、酸を中和する力も弱くなり、虫歯が進行しやすくなります。
口臭の悪化
細菌がたんぱく質を分解して揮発性硫黄化合物(※)を生成されます。
唾液の減少や清掃不足により、揮発性硫黄化合物が増え、口臭が強くなります。
※口臭の約90%を占める悪臭の元となる硫黄を含んだガスの事
口内炎や粘膜の傷
栄養不足やストレスにより、粘膜の修復力が低下します。
そのため、口内炎ができやすく、治りにくくなります。
災害時の口腔ケア法
地震時
水が少ない場合:少量で何回かに分けてうがいをする
糖分の多い非常食を食べる場合:噛み応えのある食品や無糖ガムを使い、唾液を分泌させる
歯ブラシが使えない場合:ガーゼや清潔な布で歯や舌の表面をやさしく拭く
台風・洪水時
口内乾燥対策:こまめに水やお茶でうがいをする
虫歯リスクを減らす:非常食や飴を食べた後は必ず水で口をゆすぐ
簡易歯磨き:携帯用歯ブラシやフッ素入りタブレットを備えておく
停電・断水時
ガーゼや布で歯面を拭く:プラークを物理的に減らす
フッ素スプレーやタブレットの活用:歯のエナメル質を守る
噛むことで唾液を促す:非常食や噛みごたえのある食材で自浄作用を補助する
備えておくと安心な口腔ケアグッズ

災害に備えて防災グッズと一緒に避難袋に入れておきましょう!
・携帯用歯ブラシ
・小分けの歯磨き粉・ペースト
・ガーゼ・清潔な布
歯の表面を拭き取るだけでも口の中の不快感やネバつきを多少でも軽減してくれます
・水・お茶
食後に少量の水やお茶でぶくぶくうがいをしましょう
・キシリトールガムやタブレット
唾液を促進し、虫歯予防にも効果的です
水が少ないときの歯磨き

①約30mlの水を用意して、歯ブラシをぬらして歯みがき
②合い間に歯ブラシの汚れをティッシュでふきとる
③コップの水を少しずつお口に含み、2~3回にわけてすすぐ
水のかわりに液体ハミガキや洗口液があれば使いましょう!※水でのすすぎは不要
唾液を出す工夫をする
唾液には口内のpHを中性に保つ緩衝作用や細菌を洗い流す自浄作用があります。唾液が減ると、虫歯や歯周病菌が繁殖しやすくなるため、災害時の口腔ケアは快適な生活のためにも重要です。耳の下、頬、あごの下を手でマッサージしたり、温めるとだ液が出やすくなります。

誤嚥性肺炎の恐れ
誤嚥性肺炎とは、口腔内の不衛生から細菌が増え、唾液や食べ物と一緒に誤嚥され、気管支や肺に入ることで生じる肺炎です。災害時は高齢者だけではなく、どの年齢でも起きる可能性があります。口腔ケアが疎かになることが原因の一つです。歯や歯茎にプラーク(歯垢)やバイオフィルム(歯垢が口腔内に長時間留まって膜のようになったもの)が形成され、これが細菌の温床となります。この細菌が増えると、特に免疫力が低下している人は感染のリスクが高まります。さらに口腔内に食べ物の残りがあると細菌に栄養を与えてしまい、繁殖につながって口腔内環境が悪化します。
まとめ

災害時のケアは完璧である必要はありません。少しでも口腔内を清潔に保ち、唾液を促し、酸から歯を守るだけでも、歯や歯周病のリスクを減らすことができます。日常的に災害に備え、少量の水や代替品でのケア方法を習得しておくことも大切です。また携帯用歯ブラシやガーゼ・キシリトール入りガム・マウスウォッシュ等非常時に役立つアイテムも事前に備えて、災害時でも健康な口腔内を可能な限り意識して過ごせるといいですね。







