なぜ起こる?睡眠時無呼吸症候群の原因や検査方法、治療法

こんにちは。名古屋市天白区にある歯医者「医療法人IDG いちろう歯科・矯正歯科」です。

睡眠時無呼吸症候群の男性

睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が繰り返し止まったり弱くなったりする病気です。十分な酸素を体に取り込めなくなることで、睡眠の質が低下し、日中の強い眠気や集中力の低下を引き起こす原因となります。

日本では、成人男性の3〜7%、女性の2〜5%に潜在的な患者がいると推定されており、自覚のないまま放置されているケースも少なくありません。「何が原因で無呼吸になるの?」「どのように調べるの?」など、疑問に思う方もいるでしょう。

この記事では、睡眠時無呼吸症候群の原因と、検査方法について解説します。「いびきが気になる」「熟睡できない」など、健康に問題がないか気になっている方は、ぜひ参考にしてください。

引用元:一般社団法人 日本呼吸器学会「睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群のいびきが大きく眠れない家族

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中に繰り返し呼吸が止まったり浅くなったりする病気です。医学的には、10秒以上呼吸が止まる状態を無呼吸といい、1時間に5回以上の無呼吸がある場合に睡眠時無呼吸症候群と診断されます。

眠っている間に呼吸が止まることで、血液中の酸素が一時的に不足し、脳が体を覚醒させて呼吸を再開させます。この動きが何度も起こると深い眠りが妨げられ、睡眠の質が低下するのです。

熟睡できないと、日中の強い眠気や体のだるさ、集中力の低下にもつながります。仕事や運転など、社会生活に支障をきたすケースも少なくありません。

また、睡眠時の無呼吸によって血液中の酸素が不足すると、心臓や血管に大きな負担がかかり、高血圧や心疾患、脳卒中などの生活習慣病のリスクが高まります。睡眠時無呼吸症候群は「いびきが大きい」「よく眠れない」といった睡眠の問題にとどまらず、全身の病気につながる可能性もあるのです。

睡眠時無呼吸症候群の主な原因

睡眠時無呼吸症候群の気道が狭くなっている説明図

睡眠時無呼吸症候群は、体質や生活習慣など、さまざまな要因によって気道が狭くなることで起こります。ここでは、主な要因について解説します。

肥満

睡眠時無呼吸症候群になる原因として、肥満が挙げられます。首や喉まわりに脂肪がつくことで、睡眠中に気道が圧迫されて空気の通り道が狭くなり、無呼吸を引き起こすのです。

特に、仰向けで寝ると舌がのどの奥に落ち込みやすく、気道がふさがることで無呼吸が起こりやすくなります。また、肥満によって胸やお腹にも脂肪がつくと、肺が十分に膨らみにくくなり、深い呼吸がしにくくなります。

加齢による筋力低下

年齢を重ねると、のどや舌の筋肉の張りが弱まり、睡眠中に気道を支える力が低下します。その結果、舌が喉の奥に落ち込みやすくなり、無呼吸が起こりやすくなるのです。

特に中高年以降の男性に多く見られますが、閉経後の女性でもホルモンバランスの変化により発症しやすくなるとされています。

鼻詰まり・アレルギー性鼻炎

鼻づまりがあると鼻で呼吸がしにくくなり、自然と口呼吸になります。口呼吸では舌の位置が下がりやすく、喉の奥の気道が狭まるため、無呼吸を引き起こしやすくなります。

慢性的な副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎、鼻中隔湾曲症などがある場合は、鼻呼吸が妨げられることで症状が悪化するケースもあります。

飲酒・喫煙

アルコールを摂取すると、喉や舌の筋肉が緩みやすくなり、気道がふさがりやすくなります。特に就寝前の飲酒は、無呼吸を悪化させることが少なくありません。

また、喫煙も無呼吸のリスクを高める要因です。喫煙によって喉の粘膜が炎症を起こすと、腫れやむくみが生じて、空気の通りが悪くなることがあります。

睡眠薬

睡眠薬の中には、筋肉の緊張を緩める作用を持つものもあります。睡眠薬の種類によっては、のどや舌の筋肉の緩みを引き起こし、気道が狭くなりやすくなり無呼吸につながることもあるのです。

睡眠薬を服薬中で無呼吸がある方は、医師に相談し、悪影響を与えにくい薬を処方してもらえないか相談してみましょう。

睡眠時無呼吸症候群の検査方法

睡眠時無呼吸症候群の検査をする様子

睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合、まずは問診で症状や生活習慣を確認し、必要に応じて検査を行います。主な検査方法は、自宅で行える簡易検査と、医療機関で行われる精密検査の2種類です。

ここでは、簡易検査と精密検査について解説します。

簡易検査

簡易検査は、自宅で手軽に行えるスクリーニング検査です。指先や鼻に小型のセンサーを装着し、一晩眠ることで睡眠中の呼吸の状態や酸素濃度、心拍数などを測定します。

この検査では、呼吸が停止したり浅くなったりした回数を記録し、無呼吸低呼吸指数(AHI)という数値を調べます。AHIが高い場合は、より詳しい精密検査が必要です。

簡易検査は自宅で実施できるため、仕事や家事で忙しい方でも気軽に受けやすいでしょう。

ただし、脳波や睡眠の深さまでは測定できません。正確な診断を行うには、精密検査が必要です。

精密検査

精密検査として行われる終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)は、医療機関で一晩入院して行う検査です。脳波や心電図・筋電図、呼吸の状態や血中酸素濃度などを測定し、睡眠の質や無呼吸の重症度を評価します。

この検査によって、睡眠の深さとリズム、無呼吸が起きているタイミングや持続時間などを把握できます。無呼吸や低呼吸の重症度を判定し、適切な治療方針を立てるために重要な検査です。

睡眠時無呼吸症候群の治療法

睡眠時無呼吸症候群の治療に使用されるマウスピース

睡眠時無呼吸症候群の治療法は、無呼吸の原因や重症度によって異なります。主に行われるのは、マウスピース、CPAP、外科的手術の3つです。

マウスピース

下顎を少し前に出すと、舌の付け根が喉の奥に落ち込むのを防ぎ、空気の通り道が広がります。この特徴を利用し、マウスピースによって下顎を固定することで、気道の閉塞を防ぐのです。

装着すると口呼吸が抑制され、鼻呼吸を維持しやすくなる可能性があります。持ち運びしやすく、CPAP装置のように大きな機械を使う必要がないため、旅行や出張が多い人も使いやすいでしょう。

マウスピースでの治療は、軽症から中等症の睡眠時無呼吸症候群に適応されます。マウスピースの作成は歯科医院で実施します。

ただし、歯の欠損が多い方や、顎関節症がある方は使用できない場合があります。無呼吸を防ぐ効果を高めるためには、歯科医師による精密な型取りと調整が必要です。

CPAP

CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)は、鼻に装着したマスクから一定の圧力で空気を送り込み、気道が塞がるのを防ぐ方法です。中等症から重症の睡眠時無呼吸症候群に対してよく行われています。

CPAPの特徴は、寝ている間も気道を常に広げた状態に保つため、無呼吸やいびきを防ぎ、夜間の酸素不足を改善できる点です。治療を続けることで、日中の眠気が改善され、高血圧や心疾患などの合併症リスクを低減できる可能性があります。

ただし、毎晩装着する必要があり、装置の音や装着感を気にする人は少なくありません。定期的に医師の診察を受け、使用状況や効果を確認する必要もあります。

外科的手術

骨格や口周りの形によって気道が狭くなっている場合は、外科的治療が検討されることがあります。代表的な手術は、扁桃腺や軟口蓋の一部を切除して気道を広げる手術や、上下の顎の位置を前方に移動させる顎骨形成術などです。

また、鼻づまりが原因となっている場合には、鼻の骨の状態を改善する手術を行うこともあります。

外科的手術を行うには全身麻酔をする必要があり、ほかの治療と比べて体への負担が大きく、術後には痛みや腫れが生じることがあります。そのため、ほかの治療で十分な効果が得られない場合に検討されることが多いです。

まとめ

睡眠時無呼吸症候群を治療し快適に睡眠がとれるようになった女性

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に何度も呼吸が止まる病気です。放置すると高血圧や心疾患、脳卒中などの重大な合併症を引き起こすリスクがあります。

原因としては、肥満や加齢、鼻づまりなどが挙げられます。家族に指摘されるほか、「熟睡感がない」「日中に強い眠気がある」と感じたら睡眠時無呼吸症候群の症状かもしれません。

自宅で簡易検査を受けることも可能です。適切に治療を行うと、質の高い睡眠を得られるようになり健康的に生活することにつながります。気になる症状がある場合は、放置せず、早めに医療機関を受診しましょう。

睡眠時無呼吸症候群の治療を検討されている方は、名古屋市天白区にある歯医者「医療法人IDG いちろう歯科・矯正歯科」にお気軽にご相談ください。

当院は、健康なお口=健口から健康を創り出す歯科医院として予防を中心とした歯科医療を提供しています。予防歯科や小児矯正、マウスピース矯正だけでなく、虫歯・歯周病治療やホワイトニング、入れ歯、歯科ドックなども行っています。

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