こんにちは。名古屋市天白区にある歯医者「医療法人IDG いちろう歯科・矯正歯科」です。
「マウスピースの矯正をしたいけど、歯ぎしりをする癖があってもできるの?」と疑問を持っている患者さまもいるでしょう。歯ぎしりは睡眠中や緊張時に上下の歯を無意識にこすり合わせる癖で、歯ぐきやあごの関節に過度な負担をかけることがあります。
歯ぎしりをしている患者さまが歯列矯正を行う場合、計画や装置選びに注意が必要です。そんな中でも、目立ちにくく取り外しも簡単なマウスピース矯正は、多くの患者さまの候補に挙げる存在でしょう。
本記事では、歯ぎしりがあってもマウスピース矯正ができるのかどうかを解説します。ぜひ最後までご覧ください。
歯ぎしりとは
歯ぎしりとは、睡眠中や覚醒時に無意識に行われる、上下の歯を強く擦り合わせたり噛み締めたりする口腔習癖です。専門的にはブラキシズムと呼ばれます。
音を伴う摩擦だけでなく、音のしない強い噛み締めも含まれます。睡眠中の歯ぎしりは睡眠時ブラキシズム、日中の覚醒時のものは覚醒時ブラキシズムと分類されます。
小さなお子さまからご年配の方まで幅広い年齢層に見られ、多くの場合はご本人が気づかないうちにしています。習慣になっていると、歯や歯周組織、顎関節などに様々な悪影響を与える可能性が高いでしょう。
歯ぎしりの原因
歯ぎしりの主な原因は以下のとおりです。
精神的なストレスと不安
歯ぎしりの最も主要な原因の一つとして、精神的なストレスや不安が考えられます。日常生活で感じる仕事のプレッシャーや人間関係の悩み、学業の負担、経済的な心配事など、様々な要因が影響するのです。
眠っている間に無意識のうちに歯ぎしりや食いしばりをすることで、これらのストレスを解消しようとしていると考えられています。
歯並びと噛み合わせの問題
歯並びが悪いことや、上下の歯の噛み合わせがうまくいっていない状態も、歯ぎしりの原因となることがあります。例えば、歯が1本だけ飛び出していたり引っ込んでいたりすると、上下の歯が均等に接触せず、特定の歯に過度な負担がかかります。
このような不安定な状態を解消しようと、睡眠中に無意識に歯ぎしりをして、より安定した噛み合わせを探そうとする場合があります。また、過去に行った歯科治療で装着した詰め物や被せ物の高さが合っていない場合も、歯ぎしりの原因となることがあるでしょう。
生活習慣の影響
日々の生活習慣も、歯ぎしりを引き起こしたり、その症状を悪化させたりする要因となることがあります。例えば、飲酒、喫煙、そしてコーヒーなどに含まれるカフェインの摂取は、睡眠の質を低下させ、眠りを浅くする作用があります。
これにより、歯ぎしりを誘発する可能性が高まるのです。また、スポーツや勉強、仕事などで長時間集中して作業することも、精神的な緊張を高めて無意識のうちに歯を食いしばる可能性があり、それが夜間の歯ぎしりにつながります。
健康的な生活を送ることは、歯ぎしりの予防や改善において非常に大切です。
睡眠に関連する要因
睡眠時無呼吸症候群をはじめとする睡眠障害は、歯ぎしりと密接な関係があります。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が一時的に止まる病気であり、呼吸停止によって脳が酸素不足の状態になると、睡眠が浅くなることが知られています。
歯ぎしりは浅い睡眠の時に起こりやすいと考えられているため、睡眠時無呼吸症候群の患者さまは、そうでない方と比較すると歯ぎしりをしやすいです。また、胃酸が食道に逆流する逆流性食道炎も、夜間の不快感によって睡眠を妨げて歯ぎしりを引き起こす可能性があります。
歯の生え変わり
お子さまの歯ぎしりの場合は、歯の生え変わりや、上下の歯が適切に噛み合うように調整するための生理的な現象である可能性もあります。歯の著しい摩耗や顎の痛みなどの症状が見られる場合は、念のため歯科クリニックに相談し、適切なアドバイスを受けることが大切です。
歯ぎしりをする癖があってもマウスピース矯正はできる?
結論から申し上げますと、歯ぎしりの癖をお持ちの方でも、多くの場合マウスピース矯正を受けることが可能です。特に、軽度から中程度の歯ぎしりであれば、マウスピース矯正ができる可能性は高くなります。
しかし、重度の歯ぎしりの場合は、マウスピースの破損や治療効果への影響を考慮する必要があるため、事前に歯科医師としっかりと相談することが大切です。歯科医師との綿密な相談と、患者さま一人ひとりに合わせた適切な治療計画によって、矯正治療を進めていけます。
例えば、ストレスを管理したり、生活習慣を改善したり、必要に応じて咬筋のマッサージなどを行うことで、歯ぎしりの影響を最小限に抑えられるでしょう。
歯ぎしりをする癖がある方がマウスピース矯正をするときの注意点
歯ぎしりがある患者さまがマウスピース矯正をする注意点は、以下のとおりです。
定期的なチェックで異常を早期発見する
歯ぎしりの習慣がある患者さまは、マウスピースの損傷や歯の移動具合を歯科クリニックで定期的に確認してもらう必要があります。経過観察が不足すると、装置や口内のトラブルに気付かずに使い続けて、矯正計画が大きく狂う恐れがあるのです。
また、歯ぐきやあごの違和感があればすぐに報告し、適切に調整をしてもらいましょう。これにより、治療期間を延ばさずスムーズに経過を進めることが可能になります。
装置が割れたり変形したりするリスクがある
睡眠中の歯ぎしりは、通常の咬合力を超える圧力をマウスピースにかけます。このため、装置のひび割れや変形を招きやすいです。
マウスピースにひび割れが生じると、歯を移動させる力が正しく伝わらず、再製作が必要となって治療費用やスケジュールに余分な負担がかかります。強い歯ぎしりが続く場合は、歯科医師と相談しながら対策をしてください。
歯ぎしりを改善する方法
歯ぎしりを改善するには、クリニックで行う方法とご自宅で行える方法があります。詳しく確認しましょう。
マウスピース(ナイトガード)の作製
睡眠中にマウスピース(ナイトガード)を装着することは、歯ぎしりによる歯の摩耗や破損を効果的に防ぎ、顎にかかる負担を軽減するための一般的な方法です。歯科医師に相談し、ご自身の歯型に合わせて作製されたオーダーメイドマウスピースを使用しましょう。
市販のマウスピースも存在しますが、適合性や効果には個人差があるため注意が必要です。マウスピースには、ソフトタイプとハードタイプがあり、歯ぎしりの程度や症状に合わせて歯科医師が適切なタイプを選択します。
噛み合わせの調整
歯ぎしりの原因が、歯並びの乱れや上下の歯の噛み合わせの不具合にある場合、歯科医師による噛み合わせの調整が有効です。具体的には、特定の歯が強く当たっている部分を削ったり、詰め物や被せ物の高さを調整したり、必要に応じて歯列矯正を検討することもあります。
ボトックス注射
顎の筋肉、特に物を噛む際に使う咬筋に、ボツリヌス菌から抽出された製剤を注射することで筋肉の過度な緊張を和らげ、歯ぎしりを軽減する方法があります。この治療法は、特に強い歯ぎしりの症状に悩む方にとって有効な選択肢です。
ただし、ボトックス注射の効果は一時的であり、通常数ヶ月程度で効果が薄れるため、定期的な注射が必要となります。
ストレス管理
精神的なストレスは歯ぎしりの大きな原因の一つであるため、日常生活でストレスを適切に管理することが非常に重要です。ご自身に合ったストレス解消法を見つけて、実践してください。
例えば、リラックスできる時間を作る、趣味に没頭する、適度な運動を習慣にする、ゆっくりと深呼吸をするなどが挙げられます。ストレスをケアできる習慣を取り入れることが効果的です。
睡眠環境の改善
質の高い睡眠は、歯ぎしりの改善にも繋がります。そのため、規則正しい睡眠スケジュールを守り、寝室を暗く静かで快適な温度に保つことが大切です。
また、就寝前のスマートフォンやパソコンの使用は、睡眠の質を低下させる可能性があるため、控えるようにしましょう。
食事に気を配る
カフェインやアルコールの過剰摂取は、睡眠を浅くし、歯ぎしりを誘発する可能性があるため、避けることが望ましいです。また、マグネシウムを多く含む食品(緑黄色野菜、ナッツ類、豆類など)を積極的に摂取すると、歯ぎしりの改善に繋がる可能性があります。
さらに、食物繊維の摂取は睡眠の質を高め、歯ぎしりを減らす効果が期待できます。
日中の食いしばりに注意する
起きている間に、無意識のうちに歯を食いしばっていることに気づいたら、意識的に顎の筋肉をリラックスさせるように心がけましょう。また、食事をする時以外は、上下の歯をできるだけ離すように意識することも有効です。
咬筋マッサージ
顎周りの筋肉の緊張を和らげるために、顎のストレッチやマッサージを行うことも有効です。無理にマッサージしすぎると痛みがでる可能性もあるため、気持ちよく感じる程度の力でマッサージしましょう。
咬筋のマッサージ方法は歯科クリニックで指導してもらえます。
まとめ
歯ぎしり癖のある方がマウスピース矯正を検討する際、軽度から中程度であれば多くの場合は治療が可能です。
しかし、重度の場合はマウスピースの破損や変形のリスクがあり、治療が難しくなるため注意が必要となります。治療を安全に進めるためには、事前に歯科医師に歯ぎしりの状態を詳しく伝えて綿密な治療計画を立てることが重要です。
治療中は定期的なチェックを受け、マウスピースの不具合や歯の動きを適切に管理しましょう。また、歯ぎしりそのものを改善する努力も大切です。歯科クリニックでの治療と並行して、ご自宅でのストレス管理や生活習慣の改善をしましょう。
マウスピース矯正を検討されている方は、名古屋市天白区にある歯医者「医療法人IDG いちろう歯科・矯正歯科」にお気軽にご相談ください。
当院は、健康なお口=健口から健康を創り出す歯科医院として予防を中心とした歯科医療を提供しています。予防歯科や小児矯正、マウスピース矯正だけでなく、虫歯・歯周病治療やホワイトニング、入れ歯、歯科ドックなども行っています。